前回は 2016年5月1日に「なにしろパソコン.com」を運営するレンタルサーバーを「シックスコア」に切り替え、安定を確認して「さくらインターネット」を解約したことを紹介しました。
「シックスコア(Sixcore)」に決めた理由
そこで今回は、なぜ移転先を「シックスコア」にしたのかをまとめます。
それは今回の経験で「数年おきにサーバーについて見直す必要がある」と感じており、次回のためにも忘れないように背景を記録しておきたいからです。
実際、いろんなサービスがあって悩みましたが、最終的に「シックスコア」にした理由は以下の通り。
- サービスの価格、スペックのバランスが希望にピッタリ
- MovableType の動作が速く、安定運営が期待できる
- 取得可能な自動バックアップ機能が提供されている
- 「なにごとも経験」とは別サーバーで運営したかった
- アクセスの多い有名ブログで採用されている事例がある
各項目について、具体的な数字を含めて紹介していきます。
サービスの価格、スペックのバランスが希望にピッタリ
まず、サーバー容量についてですが「なにパソ.com」が現在、使用している容量は 4GB もありません。「なにごとも経験」を加えても従来の「さくらのレンタルサーバー ビジネス」の 300GBの使用は 4% 以下でした。
その点から「シックスコア」で最安(月1,800円)の「S1プラン(50GB)」でも容量は十分です。
「なにパソ.com」の運営に集中して使うので「マルチドメイン」「FTPアカウント」「サブドメイン」「MySQL」の制限も「S1プラン」で大丈夫。逆に無制限に使う共有利用者がいないのはメリットです。
上記以外の数字で重要なポイントとなるのは「転送量」です。
現在、120万PV を超え、今後、200万PV も視野に運営している「なにパソ.com」のアクセスに耐えられる「転送量」が必要となります。
その点でも「シックスコア」の転送量の目安は「S1」プランで 70GB/日 とあり、当面の「なにパソ.com」運営には十分だと判断しました。
実は移転前の「さくらのレンタルサーバー ビジネス」の「転送量」は 160GB/日 で、その観点からは移転でスペックダウンとなります。
- 【さくらのレンタルサーバ】基本仕様|さくらインターネット公式サポートサイト
ただし「さくらインターネット」の「リソース使用状況」グラフで、現在の「なにパソ.com」は 1日の転送量(緑の線)は 15GB以下と分かっており、160GB/日は「オーバースペック」ともいえます。
このグラフで、4月1日に「なにごとも経験」を別サーバー(エックスサーバー)に移転したあとの「なにパソ.com」だけの転送量が分かります。
つまり「なにパソ.com」だけなら「シックスコア S1 プラン」の 70GB/日でもアクセスに十分に対応できるということです。
現在、多い日でも 15GB と考えれば、単純計算では今後「なにパソ.com」のアクセスが 4倍になっても「転送量」に関しては耐えられるはずです。
実際に 4倍になればどうなるか分かりませんが、当面の目標の 150万PV、さらに 200万PV くらいまでは問題なく運営できると期待しています。
さらに心強いのは、万が一「S1プラン」でスペック不足であれば再設定なく上位プランに移動できるということです。
サイトの成長にあわせて、簡単にプラン変更ができます。同じアカウントのままで上位プランのサーバーにワンクリックで簡単移動。面倒な再設定は必要ありません。
転送量や容量だけの問題なら、上位プランに変更すれば解決できるわけですから。
MovableType の動作が速く、安定運営が期待できる
まずは従来の「さくらのレンタルサーバー ビジネス」のスペックを記録します。
Xeon E312xx は 4コア/4スレッド。悪くないとは思います。
そしてこちらが「シックスコア S1 プラン」のスペック。
明らかに「シックスコア S1 プラン」のほうが強力です。Xeron E5-2630 が 8コア/16スレッドというだけでも違うのに、さらに「シックスコア S1 プラン」の CPU は「x2」になっています。
そしてメモリー容量が 22GB と 96GB。単純にスペックだけ比較すると圧倒的に「シックスコア S1 プラン」のほうが高機能です。
もちろん「共有サーバー」なので、どれくらい同じサーバーを共有するかで違ってくるわけですが、「シックスコア」の共通スペックとして
低人数ハイスペックサーバー
高パフォーマンスを誇る最新の16コアCPU、大容量96GBメモリを搭載した最新サーバーを採用、自社にて直接、保有・運用管理を行っています。
さらに、1台のサーバーに入るユーザ数を一定数に設定し、CPU負荷等が常に低く、安定したサイト運営が可能となります。
という記述があり、これを信じたいところです。
そして実際に MovableType で「今日のひとこと」を再構築した結果がこちら。
◎移転直前 1時間35分「さくらのレンタルサーバー ビジネス」2016/4/24
◎移転直後 25分 27秒「シックスコア S1 プラン」2016/5/1
1時間以上の時間短縮が実現できました。これだけでもサーバーを移転した価値があります。
ほかにも移転後は「さくらのレンタルサーバー ビジネス」で問題だった MovableType のテンプレート編集が Google Chrome でもフリーズする現象は起きなくなりました。
さらに MovableType による記事の作成、公開、更新、すべてが高速になり、これで安心してサイトのメンテナンスやバージョンアップが実行できます。
ちなみにサイトの表示速度も改善されています。「GTmetrix」というサービスを使って計測した結果は以下の通り。
◎移転前(さくらインターネット)
◎移転後(シックスコア)
数字的にも改善が示されたので、ホッと一息です。
取得可能な自動バックアップ機能が提供されている
「シックスコア」では、共通スペックとして
バックアップ機能
設備の故障や、その他トラブル等への備えとして、全サーバーで下記のようなバックアップ体制を取っており、ハードディスク障害等によるデータ損失の可能性を低めています。
- 2台のハードディスクに同じデータを同時に書き込む、RAID1によるリアルタイムでの全データコピー(ミラーリング)
- 1日1回、深夜から早朝にかけて、MySQLデータベース、サーバー領域のWeb・メールデータをバックアップ専用サーバーへと自動バックアップし、サーバー領域のWeb・メールデータ「過去7日分」、MySQLデータベース「過去14日分」のデータを保持
また、上記2.にてバックアップを行ったデータは、お客様への提供も行っています。
と紹介されており、特にサーバー領域を過去 7日分、データベースを過去 14日分、自動でバックアップしてくれる安心感は大きいです。
入手には手数料と手間が必要ですが、これらがあれば「なにパソ.com」は再生できる、という安心感が違います。
バックアップデータの提供の際には、下記の通りデータ提供1回ごとに手数料が必要です。
サーバー領域データ … ご指定の日のWeb・メールデータ(税込10,800円)
MySQLデータベース … ご指定の日の特定のデータベース1つ(税込5,400円)
いざというときは、これくらい安いものです。
ちなみにこれとは別に「phpMyBackupPro」というプログラムを使って、MySQLデータベースのバックアップを毎日早朝、自動で実行してメールの添付ファイルとして保存できるようにしています。
これによって手数料を払わなくても、MySQLデータベースは再生できます。
「なにごとも経験」とは別サーバーで運営したかった
このことは以前、詳しく書きました。
要するに「なにパソ.com」と「なにごとも経験」を別サーバーで運営することで
- 実績ある別々のサーバーを使うことで、同時にダウンするのを防ぐ
- 一方のバックアップを使って、もう片方で再生できるか検証できる
- 一方がダウンしても、もう片方でバックアップを使って再開できる
という『二重化』が実現できる、というわけです。
実は「エックスサーバー」と「シックスコア」のサーバーはスペック的には同じです。
また、転送量も「エックスサーバー X10」と「シックスコア S1」では同じ 70GB/日 に設定されています。
違いは料金と機能制限です。
エックスサーバー X10 | シックスコア S1 | |
月額費用(12カ月契約) | 1,000円 | 1,800円 |
初期費用 | 3,000円 | 6,000円 |
ディスク容量 | 200GB | 50GB |
マルチドメイン | 無制限 | 5個 |
サブドメイン | 無制限 | 100個 |
MySQL | 50個 | 5個 |
この比較だけ見ると「エックスサーバー」のほうが圧倒的に制限が少ないのに安い、ということになります。しかし「共有サーバー」は他の利用者も使うので機能制限があるほうが安心して運営できます。
たとえば安価で大量のサイトを生成したい利用者は「エックスサーバー」を選択するでしょう。その分だけ「シックスコア」には安定した運営を望む利用者が集まることになる『はず』です。
同じサーバースペックの「エックスサーバー」よりも料金が高く、機能も制限されている「シックスコア」のほうが 1台のサーバーに入るユーザー数が少なく、安定した運営できると考えるのが妥当です。
さらに「エックスサーバー」を 2台、レンタルした場合、同じドメインは設定できません。つまり
- 一方がダウンしても、もう片方でバックアップを使って再開できる
を実現するためには、同じサービスのサーバーではだめなのです。
そのため、今回のサーバー移転では
実験的な「なにごとも経験」は「エックスサーバー」、安定運営を望む「なにパソ.com」は「シックスコア」
と棲み分けました。
気になるのは「エックスサーバー」と「シックスコア」が同じ会社(エックスサーバー社)が運営しているということで、この会社になにかあれば同時に問題が起きるということです。
しかし、そこはまあ 2003年からサーバー事業を続けているということで、信頼してみようと思います。
アクセスの多い有名ブログで採用されている事例がある
あとはこんな記事があります。
どこまで精度が高い情報かは分かりませんが、月100万PV を超えたブログで「シックスコア」が採用されている事例が提示されています。
「エックスサーバー」でも WordPress を使ったブログで月100万PV 超(合計で月300万PV)でも運営できているという情報があります。
となれば、さらに機能制限した「シックスコア」であれば、120万PV の「なにパソ.com」は十分、運営できるはずです。
特に WordPress による月約20万PVの「なにごとも経験」ブログを「エックスサーバー」に移転して分離したことで、より安定した運用ができると考えています。
あとは実際に運営してみればわかる
以上の理由で「ないパソ.com」の運営レンタルサーバーは「シックスコア S1」に決定し、すでに移行後の動作も確認して 1年分の利用料を納付済みです。
初期費用も含め、それなりの値段なので頑張ってもらわないと困ります。
現状、「シックスコア」に要望があるとすれば「さくらインターネット」が提供している「リソース使用状況」グラフと同様の機能を追加で提供して欲しいということです。
- HTTP 503 エラー発生回数
- HTTP 503 エラーが発生したユーザ数
- CPU 使用時間
- ウェブ転送量
- ページビュー数の目安
- ユニークユーザ数の目安
これらの数字が確認できれば、サイトの運営に多いに参考となります。特に「HTTP 503 エラー発生回数」が分かるのであれば、教えて欲しいです。
あとはとにかく日々のアクセス管理や動作確認、バックアップをしっかり取りながら、まずは 1年間、運営していきます。
その結果については半年、1年といった区切でレポートしたいと思っています。それでは、これからよろしく!シックスコア!!
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