『コーヒーが廻り 世界史が廻る』- 消費国があるからこそ生産国もある

先日、自家焙煎の草分け、吉祥寺「もか」店主・標交紀さんのことを伝える本『コーヒーの鬼がゆく – 吉祥寺「もか」遺聞』を読みました。

その中で、標さんが自分の焙いたコーヒー豆まで携えてヨーロッパ各国でカフェ廻りをした、という逸話がありました。

そこまでしたのか!と同時に、確かに「世界一おいしいコーヒー」は気になるのだろうな、と妙な納得もしました。

 

そういえば、私はこれまでコーヒー豆の生産国ばかり気になっていました。

でも、世界の消費国ではエスプレッソをはじめ、さまざまな「コーヒー」が飲まれており、そして広く飲まれるようになるまでにも歴史があるわけです。

 

そんなこともあり、同じ中央公論新社から出版されている『コーヒーが廻り世界史が廻る―近代市民社会の黒い血液』が気になって手にしたわけです。

2015-08-13 18.54.50

コーヒー片手に読むには最高の一冊と言えるでしょう。

 

最初はおなじみの「羊飼いのカルディ」の伝説から始まり、イスラム神秘主義の修行僧、スーフィーたちの話となり、ヨーロッパ商人による流通の広がりにより、イギリス、フランス、ドイツの歴史にさえも要所要所で絡んでいきます。

そして植民地や近代戦争にまで話は広がり、まさにタイトル通りの世界を廻る展開となっていくわけです。

 

エピソードとしては、コーヒー豆を燃料にして走るブラジルの蒸気機関車の顛末はよくできています。

コーヒー大国のブラジルに、そんな歴史もあったのですね。

 

文章にクセがありましたが、しばらくして慣れてくるとテンポよく、最後まで一気に読み通すことができました。

ちょっとコーヒーに関する視野が広がった(雑学が増えた?)気になれます。そして、さらにもう一歩、深く知りたい気分にさせる一冊でした。

 

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